第一章

5/19

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
ちょうど、今日みたいな晴天の日。 絶好の、昼寝日和。 寝たくてしょうがない症候群に駆られていた俺だが、入学式だから流石に寝るわけにも行かず、うつらうつらと入学式を受けた。 春だというのに、桜は見えない四月三日。 校長の長い祝辞もなんとか聞いて、入学式は無事に終了した。 体育館を出て、これから俺の同級生になるであろう人たちは、入学式のプレートの前で写真を撮ったり、新しく作った友達を照れながらも楽しそうに話をしていた。 桜のない入学式。俺は、人生で二回目。 まだ固く閉じている蕾をぼんやりを眺めていると、どこからか声が聞こえた。 「ねぇ、あの人って……」 「わっ、イケメン……」 「うお、あの子きれー」 「おい、お前話しかけてこいよ!」 そんな声。 誰のことを言っているのやら、そんなものに俺は興味ないけど、目立つ存在というのは最初から目立つんだな、と思っていた。 ここまではよかった。間違いなく。 問題はこの後だ。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加