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「ねぇ、君」
視線と声が俺に向けられているのに気付き、視線を蕾から声のした方にずらす。
見ると、そこには一人の女の子が立っていた。
周りを見ると、男子たちはその女の子に夢中になっているらしい。大体の男の目がこちらを向いていた。
俺の目の前に立つ女の子も、それを知っているかのように、自身に満ち溢れた目をしていた。
今考えると、そいつは学年で一番のものを持っていたんだなぁ、と思う。とにかく、その時の俺は眠かった。
「君、学年トップの神木君、だよね!」
「……違います」
面倒な雰囲気全開な展開に、口は勝手にそう動いた。
俺は悪くない。口のせいだ。
そんなことを考えていると、目の前の女の子はおかしそうにくすくすと笑った。
あ、巻き込まれた。
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