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坂本と簡単なメールのやりとりを済ませると、俺は学校の鞄から課題のプリントを取り出し、机に広げた。
が、集中は長く持たない。
もちろん、気が完全にcenterの握手会の方に持って行かれているからだ。
気晴らしに聞いていた曲も、勉強の集中を妨げる要因だとわかってはいるものの、どうしても停止ボタンが押せない。
この数名で歌っているcenterの曲も、麻友が参加していると思うと、同い年なのに、こうやって机に向かって勉強している俺と、夢を叶えて幾多のファンを魅了している麻友との立場の違いを痛感させられる。
今もテレビ番組の収録中なのだろうか…。
俺は携帯を開いてみる。
待ち受けも麻友の画像にして、すっかり俺はハマってしまっていた。
この薄い液晶画面が、俺と麻友の住む世界を大きく隔てている…。
一般人とアイドルの境界線……。、
超えることはできない、超えてはいけない。
だが、もう少しで、画面越しではなくて生で見ることができる…。
俺はその期待に胸を膨らませて、携帯をそっと閉じた。
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