きっかけ

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―――――――――――― 「はぁー…食べた食べた…。もう入らない…。」 と坂本はショッピングモールを歩きながらお腹をパンパンと二度叩く。その姿は真っ先に中年のおじさんを連想させた。 あれも食べたい、これも食べたいと坂本は見たこともないほどに食べ、俺を圧倒させた。 「にしても…お前はよく食うな…。」 「ははっ。俺を誰だと思っている、坂本様だぞ。」 と、朝の真面目な面持ちの彼は何処へやら…いつもの坂本に戻っていた。 まあ…こっちの坂本の方が坂本らしいし…。 とちょっぴり安心しているのは彼に伝えないとして…。それにしてもまだ時間には余裕があった。 「おっ!」 すると坂本は何かを発見した声を出した。 全く…何でもかんでも発見してして驚く所はまるで小学生みたいだ…。 「centerの映画あってるじゃん!」 と広告を指差し俺を見てくる。 「そうだな…。」 「せっかく福岡に来たんだしさ、見に行かない?」 せっかく福岡に来たのに、なぜ映画を見に行くのか、相変わらず坂本の思考回路は読めないが、単刀直入に言うと映画を見たくて、正論っぽく言うならば明日の握手会に向けての知識の蓄え…と言ったところか。 「う~ん…。まあ他にやる事ないし、良いか…。」 と、俺も特別断る用事もなくて許可してしまった。
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