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呑気に回想に浸って、清涼カプセルを食べている場合ではなかった、と後悔しても今更遅い。
とりあえず、麻友の出方次第…になるな…。俺のことを覚えているようならば、話は早いが、もし覚えていないならば携帯を取り間違えた張本人だという説明から…あああ!それじゃあ時間が足りない!
そしてついに次が俺の番になってしまった。
「俺、麻友のこと昔っから大好きです!」
と、前の人は比較的大きな声で言った。きっと緊張で自分の声量がわからなくなっているのだろう。
「ありがとうございます。」
きっと麻友は笑顔でそう言っている事だろう。
あっと言う間に前の人が終わってしまった。
券を係りの人に渡すと、前に進むよう背中を押されたがまるで鉛が入っているように足が重い。
もしかしたら右手と右足が一緒に出てしまっているかもしれない。
麻友は今どんな心境かな、俺のこと覚えているのかな、携帯、最後にちゃんと持っているか確認すれば良かった、もしかしたら、この場で携帯を返却するのかな。
一気にいろんな思いが馳せた。
そして……。
麻友と目が合った。
彼女はハッとする。
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