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待ってましたと言わんばかりに俺は深浦の質問の語尾を噛み殺して答えた。
「麻友っていう人!わかる?」
それで、この「麻友」こと九条麻友(クジョウ マユ)。
艷やかな黒い髪に、それと対照的な透き通るような白い肌の持ち主。
俺の中で真っ先に推しメンにした人だ。
容姿から何から、まるで俺の理想像をそのまま体現したかのような人だ。
その九条麻友は俺と同い年、つまり16歳にも関わらず、centerでは主要メンバーの仲間入りを果たし、今後のcenterを担っていく上で必要不可欠なメンバーとさえ言われている。
言うまでも無いが、そんな彼女のファンは星の数ほどいる。
「あー…。なんとなくわかる気がする…。」
そう斜め右上を見ながら思い出す仕草は今も昔も変わらない。
「絶対知ってるはず!あんなに可愛い人…他にいないし、centerだって毎日テレビに出てるし…。」
「わかったわかった!
そのうちな。そのうちテレビで見たらチェックしておくよ。」
一度語り出したら止まらない俺の癖を知ってか、深浦は暴走する前い歯止めをかけた。
そして、ちょっと不機嫌そうな顔をする俺を見るとニヤリと笑って深浦は歌い始めた。
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