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この時俺は既に恋をしていたのだと、後から思う。
アイドルに恋をするなんて…。
結果は白黒はっきりしている。それよりも先行するのは、俗に言う『痛い』人間だという感覚。
わかっている、わかっているんだ。
それでも、人生で初めて夢中になった女性だ。
言ってしまうなら初恋。
高校生の俺には理性と本能のバランスなんて取れていない部分もまだまだある。
まして、恋愛面においてはまだ未経験の場所なんだ。
どこか今までの平坦な人生にワンチャンスがあるなら…。そう思う気持ちも隠せないでいた。
でも、俺には何の才能もない。
特別かっこいい訳でもなければ、特技もない。
そう、俺には彼女と住む世界がどこか別な物、それはまるでアニメやゲームの世界と変わらないものである。
その現実が、俺を密かに苦しめていた。
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