きっかけ

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―――――――――――― 深浦とカラオケを存分に楽しんだ後、俺はいつも通り家に帰り着いた。 自室に入るとすぐに俺の白い携帯が音を立てる。 やはり高校生となると、毎日のメールは重要なコミュニケーションのツールの一つとして日々欠かせない物になる。 そう高校に入学して真っ先に思った。 俺は携帯を開くと、同じクラスの坂本大地(サカモト ダイチ)からのメールだった。 坂本とはクラスでもよく話すメンバーの一人であり、頻繁にメールのやりとりもしている為に、大して驚きはしなかった。 メールの内容を確認する。 『今度のcenterのCD、買う?』 普通のアーティストのCDならいちいち友達にCDを買うかどうか、そんな事を訪ねる事は無いのだが、centerとなると話は別だ。 『もちろん。握手会も行く予定。』 俺はバッチリとカレンダーに書いてある赤い丸い印を見ながら返信をした。 何故坂本が俺に聞いてきたのか…。 理由は、俺が返信をした内容にあった『握手会』にあった。 握手会とは文字通り、centerのメンバーと握手をする事ができる目玉のイベントであり、恒例イベントでもある。 centerの登場により、さらにアイドル界は注目される中、今話題となっているのが、この握手会だ。 その握手会に必要なチケットは、毎回のシングルCD毎に入っていて、気軽にファンも手に入りやすく、もはやチケットだけを目当てに買う人まで続出する程の盛況ぶりだ。 俺がcenterに没頭し始めて初めての握手会だったからこそ、俺はこの日を兼ねてから待ち望んでいた。
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