アイドル、俺

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――――――― ガチャ… 由紀はドアの方を振り向く。 そこには、もう寝間着姿の長野裕子が立っていた。 長野裕子はcenterでもメンバーからの信頼が厚く、淳子の次にcenterの顔と言っても過言ではない。 麻友とも非常に仲がいい。 「この部屋麻友と由紀だよね。 あら?麻友まだ帰ってないの?」 裕子は「あれ?」という表情を浮かべる。 「うん。さっき電話したらちょっと道に迷ったって言ってた。」 由紀は携帯を片手に窓の外を見る。 「あちゃ~。 せっかく麻友に話したいことあったのになぁ~。 麻友、完璧ってファンとか言われるけど、案外ドジな一面もあるよね~。」 「…うん。」 ニコニコとした顔と対照的で、不安げな顔の由紀。 「あ!そういえば、もうご飯食べた?」 「…いや、まだだけど…。」 「そっか。まぁまぁ、そんな心配しなくても大丈夫だって!じゃ、寝るね!おやすみ~!」 元気なまんま自分の部屋に戻っていってしまった。 テレビをつけてるけども、全く内容が入らない。 「大丈夫かな…。」 由紀はひとりぼっちの部屋で呟いた。
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