現実

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やっと聞けた…。 これぐらいならクラスの女子にだって、簡単に言える。 けど、麻友の時は全然違う。 麻友は少し下を向いた。 そして次に顔を上げた時は微笑んでいた。 この一連の動作が目の奥に焼き付けられる。 「…ぃ……ょ?」 小さな声で聞こえなかった。 「え?」 「…メール。して、いいです、よ?」 目を俺と合わせずに言ったかと思ったら、最後の「よ?」の時に上目使いで見てくる。 今回ははっきり聞こえた。 微妙に片言な麻友。 そして固まってる俺。 「え…ほ、ホント…?」 「ホントはダメなんですけど~…まぁ今日のぶんのお礼ってことで!」 また微笑んでいた。 最高の微笑み。 俺が惚れた笑顔。 「でも、誰にも言わないでくださいね?」 と首を傾げながらお願いをする。 「あ…うん。」 実感が沸かなかった。断られるとばっかり思ってたから。 でもすぐに理解をする。 「よっしゃー!」 俺はついついその場で大きな声を出してしまった。そうしなくては耐えられなかった。 今回は麻友から声が大きいと注意されなかった変わりに笑ってくれた。 その後、麻友と別れを告げて各々部屋に戻る。 こんなに上手く話が進んで良いのか…。そんな不安が心のどこかにあったが、今はそんな事を感じる余裕もなかった。 だが、その不安は気のせいではなかった。
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