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「ん…」
眠りを妨げる程の眩しい陽射しに、その少女は目が覚めた。
ここはどこだろう…
体が重い…
でも…暖かい?
気持ちがいいからもう少しだけ寝ちゃおうかな…と寝返りをうってみたところ
-ゴツッ
「ったぁ!」
石に額をぶつけて完全に目が覚めた。
額を押さえながら、ゆっくりと体を起して辺りを見回してみると
木…木…
そして鳥居…?
「神社?」
ここが神社だとわかった少女が首を傾げ
「なんでこんなところで寝ちゃったんだろう…」
と苦笑いしながら立ち上がると
「さぁ…帰ろうっと」
と一歩踏み出すが
「どこへ?・・・あれ?私・・・どこに帰るんだろう」
帰り道がわからないことに気がつき動揺し
「ど、どうしよう」
狼狽しながらも神社を歩いてみれば何か分かるかもしれない・・・と当てもなく神社の中を歩き出すと、かすかに人の声が聞こえてきた。
風に乗って本殿の裏から人の話し声が確かに流れてくると、その声に
『何かわかるかもしれない!』
と弾かれたように駆け出す少女が少しの期待を胸に声のする方へと走ると、数人の着物を着た男女が神主らしき人物と話しをしている姿が目に入ってきた。
ほっと安堵した少女が近寄り、少し笑みを浮かべて
「あの…」
少し息を切らした声で話しかけてみると一斉に皆が話をやめ少女に目を向ける…が、皆少女を見ると顔は強張り凍りついたように動かなくなり
「えっと…」
大人達の思わぬ反応に、どうしていいかわからず少女は言葉が出なくなった。
すると一人の男が
「あんた、その着物はなんだ?それに…その髪の色」
と少女に侮蔑するような眼差しを向け、男の言葉に慌てて自分の着ている物を見る少女が
『…あれ?なんで?あたし…この人たちと明らかに違う』
少女はこの時代にはない制服に身を包んでおり
『なんで・・・どうして・・・あたしの格好はこの人達と違うの?』
と少女は男達の着ている着物と自分の服を交互に見やった。
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