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「特別ではない普通の子だからこそ、俺には特別に見えたんだ」
ほぼ無意識に呟いた言葉と、達貴がいつの間にか下げておいてくれた名刺を撫でる指。
「それでその、名刺、ですか」
達貴はそんな俺に笑みを浮かべ、俺の手元を見た。
仕事関係のごく一部の人にしか渡さないフルネームの入った名刺。
俺にはこれとは別に客関係に渡す名刺がある。
RYOU、としか名前の刻印がなく携帯番号の代わりに店の番号が書いてあるだけのものだ。
普段なら絶対に、取引のある業者さんにしか渡さないもの。
『あいつ』にはきっと洗いざらい吐かされるだろうけど、きっとあいつも気に入ってくれる。
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