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由真が立花由真になったのは、その二日後だった。
婚姻届の証人の欄には泉と北島にサインしてもらった。
緊張しながらサインする二人を見ているうちに、マリアは養子縁組の時のことを思い出し、複雑な気持ちになった。
マリアが結婚したことと子供が出来たことを永山と仁に告げると、また大騒ぎだった。
社長室で、仁はマリアを社長と呼ぶのも忘れ、激怒した。
「なあ、マリア、君は、兄の、その…たった一人の家族になることを承知してくれたんじゃなかったのか? 」
マリアには答えようがない。
「一生一人でいてくれとは言わない。でも、喪に服している間くらい…」
無事生まれるかわからない我が子のために急いだ、とは言えなかった。
そして…一週間ほどして、マリアは奇妙な客の訪問を仁と二人で受けていた。
写真週刊誌の、事実確認だった。
由真とマリアが歩いている姿をスクープしたというのだが、話がどうもおかしい。
マリアは隣の仁を見た。
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