第11章 移籍

15/15
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「お前本当に、なるんだな。なるっていうなら、俺らまた腹くくってお前についてく。MOONの人身御供なんてもう言わせねえ。」 人身御供…四人も自分のように苦しかったのだとマリアは初めて知った。 移籍の話などどこかに吹き飛んでいた。 みんなも育ったギルティーを離れたくないのだ。 「最初からこうなるってわかってたみたいだね。」 MIKUがしみじみ言うと、マリアはこの時だけはかつてのように元気に答えた。 「わかるわけないだろう。ただ…わからないと言えば、ZENNさんは最後までわからなかった。ああいう、予想もつかない人に、俺もならなきゃいけないんだろうね…」 みんなはそれ以上何もきかない。 マリアしか知らないZENNの姿は、永遠にマリアの胸の中に封印されるべきであるようだった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!