第12章 黒服のマリア

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 十二月二十三日。  MOONの初の東京ドーム、 そしてマリアのギルティー・ミュージック総帥襲名の披露。  久し振りの帝国の華々しいイベントは、チケットはソールド・アウト。 五万人のファンが押しかけた。  泉に服を作ってもらい、彼女の知り合いのプロにヘアメークまでやってもらった由真は開演ぎりぎりに会場に着いたので、マリアの楽屋に行くことはできなかった。  波打つ長いブロンドのウィッグをかぶり、黒のロングコートを着たままの彼女は関係者席では浮いていたが、そんなことは気にしなかった。  客電が消えれば五万人の歓声と緊張がピークになる。そして…  まばゆいライトの中、五人が登場する。 事故を乗り越え、ステージに帰って来たマリアの姿がそこにはあった。 MOONは誰一人欠けることなくファンの許に帰ってきたのだ。
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