第11章 移籍

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ツアーの後のオフが少し残っていたとはいえ、もう他のメンバーは写真集の撮影やインタビューに入っている。マリア抜きはそう長くはできないだろう。 仕事の虫の彼も早く仕事に戻りたいと言うが、ショックのためのうつ状態は、意志だけではどうにもならないようだった。 さらに気にかかるのが、日頃は話好きなマリアが何も言ってくれないことだった。 話した方が少しでも楽になるのではないか、このままでは自分を責めたり、思い詰めたりしてとんでもないことを…ZENNの後を追おうなどと考えるのではないか…それは由真が最も恐れていたことだった。     強いマリアがこんな風になってしまったのは、愛する人を永遠に失ってしまったからではないのかと由真は疑っている。  噂通り、マリアはあの人と特殊な関係にあった…  それが彼の自分に対する沈黙の理由ではないのだろうか。由真は裏切られた思いでいっぱいだった。 (でも、もう、マリアは私だけのもの…)  そうでも自分に言い聞かせなければやっていられなかった。
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