第11章 移籍

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 マリアはそれでも仕事に復帰した。 ドームの直前にリリースするシングルの準備と、写真集の撮影が平行するだけでも大変なのに、社長就任のための仕事もまとわりついてきた。  アナスタシアとディケイドの移籍が決まり、その責任を取って役員が一人退任し、代わりに麗華の推薦でシヴァが役員になったとも由真は聞かされていた。  ZENNの母がマリアをにらみ続ける険悪なムードの役員会で、マリアはテーブルの下でシヴァの手を握っていると陰口を叩かれているとは、スタイリストの泉から聞いていた。  ファンクラブのスタッフが自宅に届けてくれるファンレターは、いつしか開封済みになっている。   それはCUEに度を越した手紙が来たからだと説明されたが、本当は、ZENNの狂信的なファンが事務所にいやがらせの電話をかけてきたのが原因らしかった。  マリアがZENNを助けようとしたことを、認めないファンもたくさんいるのだろう。
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