第11章 移籍

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 マリアの表情がこわばったのを見て、由真は後悔した。 しかし、続けなければ気が済まなかった。 「何年も、私をだまし続けて。スターになるためには男の人とまで寝て。家に帰ればセックス付きの家政婦の妹がいて。素晴らしいロックスターだわね! 」 マリアは表情をこわばらせて黙り込むばかりだった。 由真はどこまでもマリアに残酷になっていく自分に驚きながらも、それを止めることができなかった。 「あなたにはZENNさんがいるからいいでしょう? あなたを奪われた私は、いったい何を支えに生きていけばいいの?」 由真は途中から泣き出していた。マリアは怒りもしなかった。ただ悲痛な面持ちで、 「そうだな、由真。揚げ句の果てに、そのZENNさんをだまして会社を乗っ取って…」 「マリア! 」 泣きながら由真は首を横に振っていた。 「そう思われるならそれで仕方がない、ただ、俺は、俺の本当の気持ちは言っておくよ。俺はずっとお前を愛していた。だからZENNさんも苦しめた。」 「マリア…もういいわ…」 「ZENNさんが俺を社長に指名したのだって…そんな憎い俺を押しつぶす魂胆だけさ…」 マリアの目からも涙があふれていた。
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