8人が本棚に入れています
本棚に追加
マリアの表情がこわばったのを見て、由真は後悔した。
しかし、続けなければ気が済まなかった。
「何年も、私をだまし続けて。スターになるためには男の人とまで寝て。家に帰ればセックス付きの家政婦の妹がいて。素晴らしいロックスターだわね! 」
マリアは表情をこわばらせて黙り込むばかりだった。
由真はどこまでもマリアに残酷になっていく自分に驚きながらも、それを止めることができなかった。
「あなたにはZENNさんがいるからいいでしょう? あなたを奪われた私は、いったい何を支えに生きていけばいいの?」
由真は途中から泣き出していた。マリアは怒りもしなかった。ただ悲痛な面持ちで、
「そうだな、由真。揚げ句の果てに、そのZENNさんをだまして会社を乗っ取って…」
「マリア! 」
泣きながら由真は首を横に振っていた。
「そう思われるならそれで仕方がない、ただ、俺は、俺の本当の気持ちは言っておくよ。俺はずっとお前を愛していた。だからZENNさんも苦しめた。」
「マリア…もういいわ…」
「ZENNさんが俺を社長に指名したのだって…そんな憎い俺を押しつぶす魂胆だけさ…」
マリアの目からも涙があふれていた。
最初のコメントを投稿しよう!