第1話 俺にはお前を愛せない。

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「…好きなんだ、先生の事。」 手嶋千草は、俯きながらそう言った。 奴の背中に夕陽があたり、俺の足元まで影が伸びていた。 その影を見つめながら、俺は疲れた脳を懸命に働かせていた。 "好き"とは、何だ? 色んな意味があるよな。 普通、男が男に対し、それを使う場合は、大きく2つに分かれる。 その1、相手を尊敬し、命を預けてもいいくらいの"好き"。 「一生、先生に付いていきます!」って、パターンだな。 その2、俺はカミングアウトはしてないが、ゲイである。女は丸っきり駄目だ。 つまり、こいつもゲイで、俺と恋人関係になりたいという意味での"好き" …しかし、俺にも立場ってもんがあるしな。 まさか、教師が生徒に手は出せないだろう。
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