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「…あいつからそういう話はしてこないから」
陵介はいつもそうだ。
人のことはあれこれ世話を焼いたりするくせに、自分のこととなると途端に口を閉ざす。
「極度の照れ屋なんだよね~。ま、そこがいいんだけど♪」
相沢は楽しそうに笑って目尻を下げた。
「ここに住んでるのか?」
「俺?週の半分はここに帰ってくるかな。陵介に会いたいから」
幼馴染みのことを、目の前でそんなふうに語るやつを見ていたら、居たたまれなくなってきた。
友達以上、恋人未満。
恋愛対象だと告げて、臆面もなく会いたいからここに来ると言う相沢も陵介と同じ…男だ。
自分も玲音という同性の恋人を持つ身だが、幼馴染みも同じ状況だと聞いたら少し複雑な心境にもなった。
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