お父さんの忘れ物

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 森を抜けると、お父さんがいる鉱山付近の山道に出た。 ボクの住む街は、数々の鉱山に囲まれた有名な街で珍しい鉱石が発掘されている。 鉱石が大好きなお父さんは、世界中の鉱山に行きたいと、パスポートを取得していた。 今回鉱山の調査が終わったら、次は海外に行きそうな勢いかな。  明るい森を通り過ぎると、目の前は散りばめられたかのような満天の星空がそこに広がっていた。  『わぁ~、綺麗だなぁ。おっと、見とれている場合じゃなかった!!お父さんに届けなきゃ』 ルーペを握り締め、足早にお父さんの元へ向かった。  :お父さんに無事にルーペを届けたサンゴは、帰りも遅くなるだろうからと父親に言われ、父親が寝泊まりしている仕事場に泊まらせてもらうことになった。 お父さんは、まだ仕事が終わらないからと同僚の人に案内され、中に入った。 そこは、木の暖かさが感じられる木で出来たお家で、一階と二階に分かれており一階は作業員さんの休憩スペースのようだ。 沢山いる作業員さんに挨拶をしながら、お父さんの部屋に案内された。  『此処ですか?お父さんの部屋は…』  『そうだよ、お父さんはここが良いと譲らなかったんだよ。この梯子を登ってね…お父さんが来るまで待っててね』  『はい、ありがとうございます 』 二階に上がり、端に見える梯子を指差されて困惑するサンゴであった。
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