第3章

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「えーと、俺もお前も男だよな?」 「そうだよ、わかりきってるじゃん」 「だよな…。だから、それは普通じゃないよな?」 「普通って何?大人はすぐに普通って言葉を使うけど普通って周りと同じことをすることなの?」 「?????」 (ダメだ…全然頭まわんねぇ!) こっちは当然の理屈で遠回しでもわかるように話しているつもりなのに惺は不満顔だ。 この様子だと俺の言い分が伝わってない気がする。 しかもパニックで目覚めた上に更なるパニックが覆いかぶさった俺の思考はめちゃくちゃでしかと回っていない。 頭を抱えうーんうーん…と考えた結果。 「よし、仕事に行ってくる!」 「格さん?!」 追いすがる惺を無視して俺はいそいそと出勤の準備をすると恨めしげな見送りを受けて家を飛び出した。 出る時に小声で、 「意気地無し」 と言われたけどそれは聞こえない振りをした。
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