第2章

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「明日は出社拒否せずに会社に行くように!ワァーッタカ??」 バチン! 「ッテェ!」 いきなり強く肩を叩かれ俺は悲鳴を上げる。 て言っても、実は痛いのは振りだけでホントはそれほど痛みは感じていなかったりする…。 (酒のせいで鈍くなってんのかな?) 自分の痛覚神経を疑って叩かれた肩を摩ってみたけど、意識は会社に行けと言われた事にほとんど持ってかれて、気分は憂鬱になっていた。 出社拒否───。 出来るものならそうしたいがそんなみっともない事出来るわけがない。 でも今日会社で起きた事を思い出すと俺の気分は更にズズーンと沈んで、明日ずる休みをしたくなった。 「ほぉら頑張れ、ほーじょーいたる!」 「……がんばりたくない……」 「北条…。」 へこみぐずる俺を長山は励ましてくれて、「生きてりゃ失敗もあるさ。元気出せよ。」と肩を叩いてくれる。 それでも俺が何も返せないでくすぶっていると長山は俺の腕を引いて席を立たせると、札を数枚渡して。 「今日はもうお開きな。お前も帰って寝ろ。」 と俺の背中を押して会計に向かわせた。 「小山田のほうはホントに大丈夫か?」 「ダイジョーブダイジョーブ、今弱気になってるお前ぇの手助けなんていらねぇよ。」 自分より身体の小さい長山が大柄の小山田を担いでいけるのか心配なのだが、気の強い長山は鼻で俺を笑いあしらうと手まで払って見せる。 「また飲もうぜ。今度はお泊り会で。」 「ああ、お疲れ。」 「お疲れ!まっすぐ帰れよ!」 長山に手を振り見送られ、俺は一人で店の出口に向かった。
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