第1章

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「ただいま。」 (今日も残業。帰りが遅くなってしまった……) 仕事を終えて自宅にもどると最初にリビングのドアを開ける。 部屋には明かりがついておらず、いつもと違う真っ暗な出迎えに居るべき者を探した。 ここにいないなら風呂か?と思い、襟首を締めていたネクタイを弛めながら浴室を覗きに行った。 しかしそこにも探し人はおらず試しに隣のトイレもノックしてみたが返事はなかった。 (とうとう嫌気がさして出ていかれたかな?) と思ったが、帰ってきた時玄関にあった履き潰したスニーカーを思い出してそれは無いなと焦る気持ちを否定した。 一瞬だけ躊躇って、一息入れると部屋中に聞こえるように大きな声を張り上げる。 「せいっ。(惺)いるのか?」 しーん……と物音一つしない部屋で1人立ち尽くす。 どうしたんだろう……どっかでひっくり返って寝てるのかな?と、別の部屋に移動しようとしたその時───
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