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「わっ!」
っと、後ろから何者かが飛び付いてきた。
その何者とは……
「せ~い~……。」
「くふふっ♪ねっ、ねっ♪格(いたる)さんびっくりした?!ねぇ、びっくりしたぁ?」
呼ばれて複雑な顔で振り返ってもそんなの一向に気にしない惺は、首の周りにぶら下がってじゃれついてくる。
「びっくりさせるなよ。お前なぁ俺もそれなりにお年を召してるんだから優しくしろよ。」
「ウッソ!まだ20代じゃん。俺と同じだろ?」
人を羽交い締めにしておんぶでよじ登った惺が、後ろから肩越しに顔を覗きこんで頬にチュッとキスをしてくる。
「おかえり、格さん♪」
ニコリと笑えば十代にも通じる可愛らしい笑顔。
その無邪気さに俺は年甲斐もなく頬が熱くなるのを感じた。
ブキッチョに「……ただいま。」と本日二回目の言葉を吐くと惺は、
「先にご飯にする?お風呂がいい?それとも俺ぇ?」
と首に巻き付いたまま前に回り込んできておんぶがいつの間にか抱っこに成り変わっていた。
さすがに成人男性をずっと抱えとくのはしんどいはずなのに、身長も体重も女性並みの惺は見た目以上に軽い。
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