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己を嘲笑う亜里の顔が歪む。
そして、優しい男を見上げた。
「私の身体はホラ、汚いの。こんな身体、誰も抱かないって言われてる。こんな身体、“女”なんかじゃない。誰も相手にするはずがないって」
――だから、逃げられない。
優しい男は、亜里を抱き締めた。
「……抱けるよ。証明してあげる」
亜里が安心するように。
幾度も、幾度も。
男は亜里を求めて、亜里を抱いた。
――何故、抱けるの?
私はこんなに、汚いのに。
アザだらけで汚なすぎて。
男が満足するような見た目では、もうなくなっているのに。
「……なぜ…………?」
「今は集中して。君を何度でも欲しがる俺の身体、分かるだろ?」
優しさの中から、男の欲望が覗く。
男の身体は、素直だった。
ひたすら亜里を、求めていた。
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