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男はシャワールームの中まで放さず、亜里を連れて行く。
明るい光の下で、亜里を眺めた。
「綺麗だ、凄く。綺麗だから欲情出来るんだ。安心して、もっと見せて。君はずっと“女”だよ」
男はその言葉通りに、亜里の全身を口づけで撫でていった。
「均整が取れていて、肌は白い。出産で多少変わったのかも知れないけど、十分綺麗だよ。何度でも抱ける。まだ抱けるし、抱きたい」
渇き切った亜里の心に、シャワーと男の唇が染み込んでいく。
――これは雨乞いだ。
亜里が息を吹き返す為に。
どうしても、必要なことだった。
行きずりの男の身体の下で、亜里の渇きが潤っていく。
他の扉を開く力が、僅かでも手に入った気がした。
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