錯覚は裏切る

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 怖いほど、肌が合う。 男が亜里の胎内に辿り着いた時。 亜里は思わず、心を溢していた。 「なぜ……こんなに……? “相性が良い”って……こういうことを言うの?」  男は亜里が達するまで、必死に堪えるようになっていった。 亜里の両耳の横に、両手をつく。  男はいつも自分の身体を支えている腕を、思い切り噛んで耐えた。 自分本位ではない、快楽。 組み敷いた亜里の上で、男は苦悶と快楽に歪む表情を見せる。  男のその姿態。 それが亜里の脚の奥を疼かせた。  ――勝てなくて、当たり前なのに。 私は、そういう身体なの。 相手を熱することしか出来ない。 「我慢しないで」  それは、亜里の優しさだった。
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