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それは、遠い遠い昔のこと。遠い遠いとある国に、大変立派な王さまがおりました。
人でも動物でもかまわず家来にする、とても心のやさしい王さまでした。
ある日、王さまは猫の家来を見ておどろきました。
「どうした、猫。右目がないぞ」
猫の家来は、困ったように頷きました。
「ははあ。どうやら、どこかに落としてしまったようです」
「むむむ」
王さまは額に手をやり、汗をぬぐいました。おそるおそる、猫にたずねます。
「痛くはないのか?」
猫はこたえました。
「痛くはありません」
王さまはたずねました。
「不便ではないのか?」
猫はちょっと考えました。
「少しばかり不便です」
王さまは、このことに心を痛めて、猫に命令をくだしました。
「よろしい。それでは、家来を三人連れて、右目を探しにいきなさい」
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