第1章

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 猫は右目を探しにいくことになった。  おともには、人間と犬と鳥を連れていくことにした。    人間がたずねた。  「落とした場所に、心あたりはあるのかい?」  「西の森かもしれませんねえ」猫は答えた。  うっそうとして、暗い暗い西の森。  ネズミが出てきて、牙をむく。  「帰った、帰った! ここにはないよ!」  犬が臭いをかいでみる。どうやらここにはないようだ。  「他の場所に、心あたりはあるのかい?」人間がたずねた。  「北の集落かもしれませんねえ」猫が答えた。   人間のこどもが出てきて言った。  「そんなの知らないよ! 東の谷の竜に聞いておくれ!」    犬が臭いをかいでみた。どうやら、本当にないようだ。    そこで、東の谷に行ってみた。    「そのようなものは知らぬ」竜が言った。  「西のネズミには会ったのか? 奴は嘘つきだ。おおかた、奴がお前の目玉を持っているのだろう」
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