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遠い遠い昔のこと。遠い遠いとある国に、はるか遠い未来が見える、予言者のお姫様がいました。
それはとても遠い未来だったので、人々はお姫様が言っていることが本当かどうか確かめられませんでした。
はじめは人々も信じていたのです。
けれど、予言に怯え、気をつけてみても一向に実現する気配はなく。
いつしか人々は、そのお姫様のことを「嘘つき」と呼ぶようになりました。
「我が国と彼の国とで、戦争が起こります」
「あの女の子、馬車に轢かれて死にますから、気をつけて」
――嘘つき!
――あの予言者の姫は嘘つきだ!
けれど、嘘ではなかったのです。
十年後、確かに戦争は起こってしまいました。
五年後、確かに女の子は馬車に轢かれて亡くなったのです。
しかし、人々はそれを予言だとは信じませんでした。
――あの姫が災いを呼び寄せているんだ!
――あの姫こそがこの国の疫病神だ!
王様はとうとう、お姫様を国民の目から隠すことにしました。
国のはずれに高い高い塔を建て、そこにお姫様を住まわせることにしたのです。
一歩たりとも、塔から出ることのないように。
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