第1章

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「エティアさんがアルカトラズに収監されたとき面会に行って、尋ねたんです。カンナくんのこと好きなんですか?って。そしたらエティアさん、好きよって答えてくれたんですけど、その時の一言が凄く苦しそうで悲しくて…。死を待つ身だからか、気持ちを伝えることも諦めちゃってて、私、自分の心臓を鷲掴みにされたように苦しかった。私にとってエティアさんはずっと憧れの人で、どんなことがあっても負けない人だと思ってて。でもエティアさんと知り合っていろんなエティアさんを見てたら、それは私の思い込みだったって分かったんです。もちろん、エティアさんは強い人ですけど、本当は凄く寂しがり屋で繊細で…私と同じ普通の女の子なんだって」  そこまで話すとクレアは一呼吸置いてクスリと笑った。 「アルカトラズからの帰りに、何がなんでもエティアさんをあそこから救い出したいって思って、いろいろ考えたんです。そこでマネージャーのナナセさんにも相談して、エティアさんのこと一生懸命話してたら、まるでエティアさんに恋してるみたいですねって言われて、何かもう目の前がパァッて開けた感じだったんです」  ナタリーは特に変な顔などもせず、静かにクレアの話を聞いていた。
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