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席替えを提案した愛護くんをみんなが讃える。
愛護くんは得意げに鼻の下を人さし指でこすった。
彼はカッコよくてサッカーがうまくて、クラスのリーダー格だ。
ものすごくケンカの強い兄貴が二人もいて、街の不良にも顔が利くという。
みんな小学校が同じなので、彼の人柄はよく知ってる。
「愛護」という風変わりな苗字は伊達じゃなく、愛護精神にあふれて、周りの信頼も厚い。
ただ……僕にはわかってる。
愛護精神というのは、自分の好む対象にのみ向けられることを。
犬や猫を愛しながら、ゴキブリを殺すように。
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