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僕は救いを求めて担任の新見先生を見た。
先生は自分の大きなお腹を愛惜しげにさすりながら、
「たくさん食べなきゃ大きくなれないでしょ?」
と聖母のように笑った。
……確かに僕はクラスの男子で一番小さい。
先生の言うことはいつも正しい。
「ほら早く食えよ」
愛護くんが言った。
彼に命じられた以上、僕はゴキブリを食べなきゃいけない。
彼の階層は男子のトップで、僕は最下層民なのだから。
豆腐とワカメのあいだから顔を出すゴキブリを見つめる。
みんなが僕を見てる。
僕は従わなきゃいけない。
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