ゴキブリ

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 水を打ったように静まり返る教室。  どうして彼女が……?  みんなは呆然と彼女を見る。  少女はその場に立ち尽くし、少しうつむいた顔は前髪に隠れて表情が見えない。  艶やかな髪から微かな芳香が漂う。  植物系のシャンプーの香りだろうか、なんて場違いなことを僕は思った。 「姫乃ちゃん……?」  愛護くんが歩み寄って彼女の顔を覗き込む。  次の瞬間、だれもが目を疑った。 「くだらねぇことしてんじゃねぇよ!」  少女の豪快な右ストレートが愛護くんの顔面に炸裂した。
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