ゾンビ発生

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 何人かに踏まれたり蹴られたりしながら床を這い進む。  何とか廊下まで這い出ると、脇目もふらずに昇降口を目指した。  しかし行く手には、バケツをひっくり返したような真っ赤な水たまりが広がっていた。  その中心で仰向けに倒れた男子生徒。  それを囲んでしゃがみこみ、赤いものを口へと運ぶ女子たち。 「う……」  吐き気をこらえる僕の背後で、通りすがった生徒たちの呑気そうな声がした。 「何? 演劇部の練習?」 「撮影じゃね? テレビかなんかの」  その声に反応して、食事中の女子たちが一斉に顔を上げる。
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