籠城

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 唐突に、後藤さんが短い悲鳴をあげた。 「どうした!?」  愛護くんが身構える。 「あ、あそこ……」  恐るおそる後藤さんが指さした先。  床の上で一匹のゴキブリが静止している。 「あんだよゴキちゃんかよ」  愛護くんは安堵のため息をつくと、上履きを片方脱いで近寄った。  とたんにゴキブリが視界から消える。 「あ、待て」  愛護くんが追いかけようとするが、ゴキブリはどこかに身を隠してしまった。 「逃がしたの?」と転入生。 「うるせぇな。  今はゴキなんかよりゾンビだろが」
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