籠城

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「ひめのん……」  後藤さんは泣きそうな声を出した。 「ごめん、私……」  ブラウスの袖をまくる。  そこには痛々しい生傷があった。 「教室から……逃げるときに……」 「噛まれたの?」  転入生の問いに、後藤さんはこくりとうなずいた。 「隠してやがったな!」  愛護くんは叫び、椅子を手にとって頭上へ振り上げた。  後藤さん目がけて叩きつけようとするところへ、転入生があいだに割って入る。 「何するの!?」 「どけ! そいつから離れろ!  ゾンビになるぞ!」 「待って、どうする気!?」 「頭を潰すんだよ!  ゾンビになる前に!」
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