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僕の通う入江中学一年三組に転入生がやってきたのは、梅雨入りした六月のことだった。
窓の外ではしとしとと小雨が降っている。
休み時間に外へ出られないし、ジメジメしてるし、六月には祝日が一つもないしで、苛立ちの募る季節。
クラス全体を覆うねっとりとした不快感は、しかし一人の転入生が教室に足を踏み入れた瞬間に一変した。
僕はまばたきを忘れて、呼吸さえも忘れて「彼女」に見入った。
僕だけでなく、クラス全員がポカンと口を開けて呆けた。
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