転校生

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 艶やかなセミロングの黒髪は風もないのにゆらめいて見える。  小さな頭には、本当にこの教室の蛍光灯の反射なのかと疑ってしまう、美しい天使の輪。  大きくぱっちりとして、赤ん坊のように澄んだ瞳。  商業アイドルでは持ち得ない、歴史あるお城のような品格。  住む世界が違う、とだれもが肌で感じた。  近寄りがたく、侵しがたい。  普段なら二言目には「かわいい~」を連発する女子たちも、このときばかりは石像みたく固まった。  ウチみたいな平凡な公立中学に、どうして彼女のような存在が舞い降りたのだろう?
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