920人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
艶やかなセミロングの黒髪は風もないのにゆらめいて見える。
小さな頭には、本当にこの教室の蛍光灯の反射なのかと疑ってしまう、美しい天使の輪。
大きくぱっちりとして、赤ん坊のように澄んだ瞳。
商業アイドルでは持ち得ない、歴史あるお城のような品格。
住む世界が違う、とだれもが肌で感じた。
近寄りがたく、侵しがたい。
普段なら二言目には「かわいい~」を連発する女子たちも、このときばかりは石像みたく固まった。
ウチみたいな平凡な公立中学に、どうして彼女のような存在が舞い降りたのだろう?
最初のコメントを投稿しよう!