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「あ、あの……二人は知り合いなの?」
担任の新見先生がみんなに代わって尋ねた。
新見先生のお腹は大きく、もうすぐ産休に入る予定だ。
「はい」
後藤さんが答えた。
「うちの家系は代々西園寺家にお仕えしてるので」
家系? お仕え?
僕の混乱はさらに増した。
六畳一間の安アパートに父と二人で暮らす僕には計り知れない世界がそこにあった。
それは先生も同じらしく、目をパチクリさせている。
「と、とりあえず西園寺さんは空いてる席に」
と言いかけて、先生は「しまった」という顔をした。
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