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「二人とも身長は同じくらいかしら。でも、野獣みたいな院長先生とは大違いね。お母さんに似たんだわ、きっと」
「ひどいな、山崎さん」
思ったことを次々と口にする患者に、さすがの龍二も苦笑していた。
「光輝くん、モテるでしょう」
一方、静子はすっかり光輝を気に入ったらしい。口を開くたびに、その距離を縮めて来ている。
「彼女はいるの?」
「いいえ、いません」
対応に困った光輝が苦く微笑むと、静子は何を勘違いしたのか頬を赤く染めてキャッキャッと嬉しそうに笑った。
「ほら、山崎さん。治療しますから中へどうぞ」
「あらヤダ、先生ったら子供に妬いちゃって。大丈夫よ、先生の良いところも私はちゃんと知ってるんだから」
助け船を出そうと龍二が治療室へ促したところで、まったく動じない。
昔からこのマシンガントークが炸裂していたのだろうか。
もしそうだとしたら、静子という名前を考えた彼女の両親もさぞ驚いたことだろう。
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