柔道整復師の技

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五分ほどそんなやり取りを繰り返したところで、やっと満足したのか彼女は治療室へ消えて行った。 解放された光輝はため息をつくと受付の椅子に座り、ノートを最初のページからパラパラと捲った。 どうやら一日で、大体二十五人前後来ているようだ。 名前を見る限りでは女性が多い。 ──これを一人で全部やるってのも大変そうだな。 そんなことを考えているうちに、またドアが開いた。 「おはようございます」 「おはようございます。って何で光輝がここに居るの?」 入ってくるなり驚きの声を上げたのは隣の家に住む、幼なじみの滝村咲(たきむら さき)だ。 光輝とは小・中学校の同級生で、今は都内の女子校に通っている。 「何でってちょっと手伝いに。そういう咲は?」 「実はフットサルの試合で足首挫いちゃってさ。一週間前から、おじさんに診てもらってるの」 水色の診察券を出した咲は、待合室のソファーに腰掛けた。
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