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まあ、光輝は男子校なので知り合う機会が限られるのだろうと勝手に思ってはいるのだが、内心ちょっと気になってしまう。
「それじゃ、帰るか?」
「うん」
アイスティーを飲み干した二人は、未だにニヤニヤしている叔母へ挨拶を済ませ、喫茶店を後にした。
ここからお互いの家までは、ほとんど距離がない。
それでも、並んで歩ける僅かな時間が素直に嬉しい。
「あっそうだ。これ、渡しておくね」
そう言って咲は鞄から、白くて小さな紙袋を取り出した。
表には、火野神社と書いてある。
「お守り?」
「そう! 手術が無事に終わりますようにって」
「マジで!? サンキュー!」
叫んだ光輝の目がとても嬉しそうで、思わず咲もニヤけてしまった。
──光輝、頑張ってね。
彼女は横目に光輝を見ながら、心の中で呟いた。
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