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「あら、噂をすれば彼よ」
──また、変なことわざ作ってるし。
なぜか嬉しそうに叔母が告げると、制服姿の光輝がやって来た。
冬服の学ランも似合っていたが、夏服の半袖も鍛えられた筋肉が見れるので咲は気に入っている。
「悪い、待たせちまって」
「お疲れ。何飲む?」
「じゃぁ、アイスティーで」
「おばさん、アイスティーもう一個お願い!」
「ウフフ。またお揃いねぇ」
口元に手をあてて、笑っている。
叔母は妙にテンションが上がり、嬉しそうだ。
「それで、話って?」
「実は俺も、専門行こうと思ってるんだ」
「えっ?」
「それで、入院してる間暇になりそうだから、資料貸してくれねぇかな?」
「うん、それは全然構わないけど……。だったらさっきの電話で言ってくれたら良かったのに。今から持って来ようか?」
そう言って咲は席を立とうとしたが、光輝の口が何か言いたげにモゴモゴと動いている。
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