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邪魔者が居なくなったところで、ようやく咲が口を開いた。
「それで、入院はどれくらいになりそうなの?」
「手術のあとリハビリもあるから、多分十日間かな」
「そんなに長いと、飽きちゃうね」
「だなぁ。でも、これでやっと前に進める気がするよ。挫折を味わうのも悪くねぇかもな」
照れ隠しで、優しく微笑む光輝の笑顔は暖かい。
叔母も言っていた通り、確かに整った顔をしている。
これは偏見かもしれないが、あまり柔道部で爽やかな男はいない。
例えるなら“野獣”か“怪獣”。
そんな男が多いのだ。
光輝のように強くてイケメンなら、さぞかし他校の女子からモテるだろう。
にも関わらず、彼が誰かと付き合ったという話を咲は一度も聞いたことがない。
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