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夜八時。
午後の診療も終わり、光輝は昨日と同じように治療を受けていた。
患者のいる光景を見たせいか、誰もいない今の治療室に違和感を覚える。
「包帯巻けるようになったか?」
「まあ、朝よりは」
本当は咲と別れたあと二時間かけて散々練習した結果。そこそこ上達したのだが、それはしゃべらないでおく。
「頑張れよ。それでな、少し大事な話がある」
「……何?」
「お前、膝の手術を受ける気はあるか?」
「えっ、何でいきなり」
実は光輝は怪我をした直後、インターネットでアンハッピー・トライアドについて、いろいろと調べていた。
クッションの役割を担う、半月板の傷が浅かったのが不幸中の幸いだった為、手術をするかしないか、迷っていたのだ。
しかし、そのことを誰かに話した記憶はない。
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