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なぜ龍二が突然こんな話をしたのか、光輝は不思議でならなかった。
「お前は、まだ若い。今なら手術をしても、復帰も早いだろう。
それにもし気が変わって柔道をもう一度やりたいと思ったときの為に、受けておいた方が良いと俺は考えている」
「でも、リハビリに半年は掛かるんだろ? だったら今のまま治しても大して変わらないんじゃ……。
それに俺はもう柔道をやる気はねぇよ」
「そうか。まあ、確かに日常生活では不便も少ないだろう。だが、引っ掛かるような症状が出たり、年を取れば後遺症に悩まされることもある。少なくとも膝に違和感が残るのは避けられないだろうな。
だから、俺は一治療家として手術を勧める。もし、断る理由が無いのなら受けておけ」
「……わかった。怪我に関しちゃ親父はプロだからな。言う通りにするよ」
「やけに素直だな?」
「悪いかよ!」
「まあ良い。そうと決まれば、早速知り合いの外科医を紹介する。医者嫌いな俺が唯一信頼している人だから安心しろ」
その言葉に光輝は黙って頷いた。
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