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「愛ちゃん?」
「お前、知らんのか!? この病院一の美人ナース、木村愛ちゃん!」
河野はまるでアイドルの話でもするかのように、鼻息を荒くしている。
──暑苦しいな。
光輝は、彼女に今日初めて会ったのだ。
そんなことを知っているはずがない。
それに『病院一の美人』というのも、彼の個人的な基準に過ぎない。
「あんな美人が彼女やったら、毎日幸せやろなぁ。デートして、イチャイチャして……」
生まれてこのかた女性と付き合った事がない河野の妄想は、益々膨らんでいく。
「河野さん、ああいうのがタイプなんすね」
「アホ。男やったら、皆惚れるやろ」
「そうっすか? 俺はちょっと……」
「これだからイケメンは腹立つ! なんや、やっぱりコレ居るんか?」
彼はそう言うと、右手の小指を立てた。
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