手術

10/31
前へ
/31ページ
次へ
「愛ちゃん?」 「お前、知らんのか!? この病院一の美人ナース、木村愛ちゃん!」 河野はまるでアイドルの話でもするかのように、鼻息を荒くしている。 ──暑苦しいな。 光輝は、彼女に今日初めて会ったのだ。 そんなことを知っているはずがない。 それに『病院一の美人』というのも、彼の個人的な基準に過ぎない。 「あんな美人が彼女やったら、毎日幸せやろなぁ。デートして、イチャイチャして……」 生まれてこのかた女性と付き合った事がない河野の妄想は、益々膨らんでいく。 「河野さん、ああいうのがタイプなんすね」 「アホ。男やったら、皆惚れるやろ」 「そうっすか? 俺はちょっと……」 「これだからイケメンは腹立つ! なんや、やっぱりコレ居るんか?」 彼はそう言うと、右手の小指を立てた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加