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程なくして、手術室と書かれた自動ドアを抜け中へ入ると、ストレッチャーから手術台に移し替えられた。
すると辺りには、ボンベや医療機器が並んでおり、天井に設置されたライトも実に物々しい。
まるで、自分がドラマの世界に入ったかのような光景だった。
「神山くん。これから背中を消毒して、局所麻酔をかけます。ゆっくりと横向きで寝てください」
麻酔科の医者だろうか。
帽子とマスクのせいで目元しか見えないが、目尻に刻み込まれたシワを見た限りでは、あまり若く無さそうだ。
光輝が彼に指示された通り横たわると、直ぐ様背中に消毒液のヒヤッとした感覚が伝わった。
「ちょっとチクッとしますよ」
という言葉とほぼ同時に、今度は鋭い痛みが走る。
──痛てっ! 刺すの早いし! チクッとどころじゃねぇ!
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